株式会社Jバイオフードリサイクル
更新日:2024.07.22
カーボンニュートラルな発電と発酵残渣肥料による
「ダブルリサイクルループ」の構築
Jバイオフードリサイクルは、「食品廃棄物の再生利用推進」と「環境にやさしいエネルギーの創出」を目指して、JFEエンジニアリンググループとJR東日本グループが共同で設立した食品リサイクル会社です。
微生物の力(メタン発酵)で食品廃棄物からバイオガスを生み出し、再エネ電気の創出を行っています。発酵残渣の肥料利用も行っており、2022年度より農家への提供を開始しています。排出事業者に「電気」と「作物」を還元する『ダブルリサイクルループ』を通じて、環境負荷低減と循環型社会形成に貢献しています。
従来、スーパーや飲食店の食品廃棄物は、容器や箸などの異物除去の手間がかかるため飼料化・肥料化が進まず、焼却処理されていました。メタン化によるリサイクルでは、そういった容器等の異物を含む食品廃棄物も受入れ可能で、機械分別し有機物だけを取り出しメタン発酵させ、生成されたガスを電気や熱などのエネルギー源として利用するため、効率よくリサイクルすることが可能です。このような背景から、駅ビルなどの大型商業施設の食品リサイクル率を向上させたいJR東日本グループと、メタン発酵技術によるバイオガス発電プラントの建設実績や廃棄物処理技術を持つJFEエンジニアリンググループのニーズが一致し、事業がスタートしました。
事業を開始した結果、分別困難な食品廃棄物の受入が進み、食品業界のリサイクル率が上昇しました。例えば、東京駅の飲食ビルではサービス開始後、食品リサイクル率が増加しました(36%→66%)。また、カーボンニュートラルな電力の発電に加え、食品の発酵残渣肥料化により『ダブルリサイクルループ』を構築できました。食品廃棄物由来の栄養を含む発酵残渣の肥料を利用することによって、農作物への化学肥料使用量低減にも寄与しています。エネルギーを効率よく活用するメタン化技術と、発酵残渣の肥料利用を通し、CO2の発生抑制と資源の循環利用拡大に大きく貢献することが可能となりました。
担当者は『事業を通してSDGsに貢献できる機会も多く、2018年操業開始から5,500名近くの見学者に来訪いただいており、一般の方にも環境にやさしい取組みを知ってもらう環境教育の場としても活用いただいております。』と話します。
また、担当者は今後取り組んでいきたいこととしてこう語りました。
『今後は、関東圏内農家への肥料提供促進により、発酵残渣の全量肥料化を目指していきたいと考えています。発酵残渣は従来焼却処理されていた為、供給チェーンが確立できれば、施設全体の環境負荷低減が期待できます。さらに、化学肥料よりも安価に提供できるため、農家は栽培コストを抑えることができます。肥料化を進めることにより、地元農家と連携し食品廃棄物の地域循環を行っていきます。また、現在は受け入れた廃棄物の容器包装などをサーマルリサイクルしていますが、より環境負荷の低い処理方法への切り替えのため、洗浄による廃プラスチックの材質向上を検討し、ケミカル・マテリアルリサイクルを目指しています。』
担当者は最後に、『食品リサイクルを推進していくために、自治体との連携や整備が必要になりますが、横浜市内の家庭系食品廃棄物のリサイクルも実現させたいと考えています。同様に、現状では食品廃棄物の法的な課題がありますが、可食部とそうでない食品廃棄物を仕分ける仕組みを構築し、県や排出事業者、フードバンクと連携を行い、食品ロス削減にも貢献したいと考えています。』と締めくくりました。