ミミズコンポスト
更新日:2026.11.06
生ゴミを減らしながら生き物を育てる楽しさも味わえる

ミミズコンポストとは、シマミミズと微生物の力を借りて、野菜くずや果物の皮などの生ごみを、植物を育てる堆肥に変える仕組みです。微生物が生ごみを分解して食べやすくし、ミミズがそれを食べて細かく砕き、ふんや尿として出します。そしてそれらは、植物が育ちやすい土づくりに役立つ高品質な肥料になります。
この取組を進める伊藤久美子さんが感じるミミズコンポストの魅力は、この高品質な肥料だけではなく、生ごみを減らしながら、生き物を育てる楽しさも味わえることです。「この餌はよく食べるね」「赤ちゃんが生まれたね」と、ふたを開けるたびに発見があります。毎日の生ごみが、ミミズの暮らしや成長を観察する教材にもなります。
電気を使わず、毎日かき混ぜる必要もありません。ミミズが快適に過ごせる環境を整えて、その働きを見守るだけです。ミミズコンポストは、一緒に小さな循環をつくってくれる、頼もしい存在になっています。

伊藤さんが取組をはじめた直接のきっかけは、コロナ禍に、お子さんが衣装ケースでミミズを飼い始めたことです。伊藤さんは当初、においや虫が心配で、飼うことに反対していました。でも、ミミズが生ごみや紙を食べ、堆肥に変えてくれる様子を自分の目で見て、考えが180度変わりました。それからはミミズについていろいろと調べるようになり、どんどんその魅力にはまっていきました。伊藤家では毎年夏に食用ヘチマを育てているので、その栽培に堆肥を使えることにも魅力を感じていました。
伊藤さんが本格的に活動しようと思ったのは、退職後に大学で経済学を学び直し、「横浜みどり税」をテーマに卒業論文に取り組んだことがきっかけでした。ミミズの世話や観察をきっかけに人が集まり、できた堆肥でまちの花や緑を育てる。ミミズコンポストは、現在多くの自治体が抱える様々な問題を解決しながら、花や緑を増やしていけるすばらしい取り組みだと感じたのです。
伊藤さんはミミズコンポストに取り組んでよかったこととして、『ミミズの暮らしを身近に見られることです。生ごみが減っていく様子に加えて、卵や赤ちゃんミミズを見つける楽しみもあります。小さな箱の中で命が育ち、ミミズと微生物が関わり合っていることを実感できます。最初は失敗もありましたが、「餌が多かったかな」「乾燥していないかな」と、ミミズの様子を見ながら工夫するようになりました。世話を続けるうちに、最初は飼うことに反対していたミミズが、とても頼もしく、面白い生き物に思えてきました。
また、ミミズ堆肥を使って育てたヘチマを見て、通りがかりの方が声をかけてくださることもあります。地元のイベントや講座でも、ミミズをきっかけに会話が生まれ、人とのつながりが広がったことをうれしく感じています。』と話します。

伊藤さんは今後取り組んでいきたいこととして、『まずは、大倉山で行っている「コミュニティコンポスト」の活動を、地域の皆さんと一緒に広げていきたいです。ミミズの様子を一緒に観察し、世話をしながら、気軽に会話が生まれる場にしたいと思っています。来春には堆肥ができる見込みなので、それをまちの花壇に使い、花や緑を育てる楽しさも分かち合いたいです。』と話します。
伊藤さんはさらに『試行錯誤の末に完成させた「観察キット」を通じて、ミミズの面白さを伝えていきたいと思います。どんな餌をよく食べるのか、卵から赤ちゃんがどう育つのかなど、子どもも大人も、自分で確かめながら楽しめます。「気持ち悪い」と思っていたミミズが、「面白い」「こんな働きをしてくれるんだ」と感じられる存在になったらうれしいです。』と話します。
伊藤さんは最後に『生ごみを「燃やして捨てる」から「育てて還す」へ。そんな循環が暮らしの中で当たり前になるように、一緒に取り組む仲間を増やしていきたいと思っています。』と締めくくりました。